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死の舞踏 ピアノ楽譜の選び方|ソロ・連弾の違いとレベル別の楽譜

ドラマ『フォーハンズ 〜2人のソナタ〜』で、主人公の2人が1台のピアノで連弾した曲がサン=サーンスの「死の舞踏」です。ところが、いざ楽譜を探すとソロ、連弾、2台ピアノ、「簡単」版など形も難易度もさまざまで、どれを選べばいいか迷いますよね。

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ソロと連弾、どちらを選べばいい?

一人で練習するならピアノソロ、一緒に弾く相手がいてドラマのように1台のピアノを分け合いたいなら連弾(1台4手)の楽譜が基本です。mymusic5では商品情報の「編成」にソロ・連弾・2台ピアノが表示されるので、選ぶときにあわせて確かめてください。

ピアノソロ連弾(1台4手)2台ピアノ(2台4手)
必要なものピアノ1台・1人ピアノ1台・2人ピアノ2台・2人
楽譜の形ふつうは大譜表(2段)2人のパートを1つの楽譜(4段)にまとめるか、パートごとに分けるピアノごとのパート譜
こんな人に一人で練習、演奏動画の撮影レッスンで先生と生徒、友だちとのデュオピアノが2台ある発表会・教室
注意点旋律と伴奏を一人で弾くので音が多くなりやすい相手とテンポを合わせる練習が別に必要1台4手の楽譜と混同しやすい

連弾で弾くなら:プリモとセコンド

1台4手の連弾では、高音域を受け持つ人をプリモ(primo)、低音域を受け持つ人をセコンド(secondo)と呼びます。サン=サーンスの存命中にデュランから出たエルネスト・ギローの連弾編曲版でも、パート名は「Seconda」と「Prima」です。セコンドが低音とリズムを支え、プリモが旋律を引っ張る形なので、「死の舞踏」では2人の役割がかなりはっきり分かれます。

Secondaパートが1から11まで番号を振ったD音で始まる19世紀の楽譜
エルネスト・ギロー編「死の舞踏」連弾版(パリ、デュラン&シェーネヴェルク)のSeconda冒頭。番号を振ったD音で真夜中を数えます。出典:IMSLP、パブリックドメイン

表にあるfreestyle pianomanの連弾譜で見てみましょう。1〜12小節はセコンドがD音を12回鳴らして真夜中を告げ、プリモはその上に長い和音を重ねるだけです。低音の伴奏が続いたあと、25小節でプリモが死神のヴァイオリンをまねた増4度(A–E♭)の和音を強く打ち鳴らし、33小節からはプリモの右手がワルツの主題を、セコンドが「ズン・チャッ・チャッ」の伴奏を受け持ちます。はじめて合わせるときは、セコンドのD音12回と25小節の最初の和音、この2か所のタイミングをそろえるだけでも曲全体がぐっと安定します。

レベル別の楽譜

形式と難易度の違う楽譜を1つずつ選びました。右端のメモは楽譜ファイルを実際に開いて書いたもので、難易度は販売者が設定したストア表示です。

形式楽譜ストア難易度ページ楽譜で確かめたこと
ソロTHIS IS PIANO「Easy version」入門2原曲と同じト短調、61小節に短くした編曲
ソロイージーピアノ「とても簡単で短い版」入門3調号なしのイ短調に移調、両手ともト音記号
連弾(1台4手)イージーピアノ「とても簡単な連弾版」入門4調号なしのイ短調に移した簡単な連弾
ソロTHIS IS PIANO「Intermediate version」初級4原曲と同じト短調、Easy versionより長い編曲
ソロSora Hong「Solo Piano Ver.」中級6ト短調、左手の低音伴奏で始まる導入部つき
連弾(1台4手)freestyle pianoman「死の舞踏」連弾版中級28セコンドが真夜中を告げるD音12回で始まる
連弾(1台4手)Bella & Lucas「Danse macabre (4 Hands)」上級131台4手の編曲、7ページの短縮版ファイルつき
2台ピアノKLAVlER「2 Piano, 4 Hands」上級24ピアノI・IIがそれぞれ両手パートを弾く2台用
ソロKLAVlER「Solo Piano」プロ17ト短調、原曲の速度表示「Mouvement modéré de Valse」
ソロリスト編曲(S.555)プロ46リスト編曲を浄書した楽譜、原曲音源MP3つき
ヴァイオリンNUA Violin「Easy Violin」初級9ヴァイオリンパートとピアノ伴奏譜、伴奏MP3つき

ドラマで2人が弾いた編曲そのものの公式楽譜は確認できませんでした。「ドラマ版」や「第2話の演奏曲」と紹介されている楽譜は販売者が独自に編曲したものなので、演奏動画とプレビューで好みの雰囲気か比べてみてください。

原曲の独奏楽器がヴァイオリンなので、ヴァイオリン用の楽譜やピアノトリオなどのアンサンブル楽譜もあります。

簡単な楽譜を選ぶときのポイント

同じ「簡単」版でも、原曲のどこを残したか、移調したかどうかは編曲ごとに違います。たとえばTHIS IS PIANOのEasy versionは12回の鐘と低音の導入を省き、1小節目からヴァイオリンの増4度の和音で始まります。9小節目でワルツの主題が、26小節目からは長い音がG–F–E–E♭と下がっていく第2の旋律が出てきて、61小節で終わります。上の表のイージーピアノの2つの楽譜は、原曲のト短調を調号なしのイ短調に移しています。買う前に、次の5つを見てください。

  1. 編成:商品情報の「編成」で、ソロ・連弾・2台ピアノのどれかを確かめます。
  2. 難易度:商品情報の「難易度」を確かめます。
  3. 長さ:ページ数や「ショート版」「抜粋」などの表記で、全曲か一部かを確かめます。
  4. プレビュー:1ページ目で調号、音域、手の大きさに合った和音かを確かめます。
  5. 演奏動画:動画がある楽譜なら、テンポや雰囲気が弾きたいイメージに合うか聴いてみます。

真夜中の墓場のワルツ

「死の舞踏」(Danse macabre)作品40は、カミーユ・サン=サーンスが1874年に作曲したト短調の交響詩で、1875年に出版され、演奏時間は7〜8分ほどです。もとは1872年にアンリ・カザリスの詩に付けた歌曲で、サン=サーンスが管弦楽曲に広げた際、歌の旋律を独奏ヴァイオリンに受け持たせました。

真夜中に死神がヴァイオリンを弾いて骸骨たちを踊らせ、夜明けの鶏の声でみな墓へ戻っていくという物語を描いています。ハープが同じ音を12回鳴らして真夜中を告げ、独奏ヴァイオリンはいちばん高いE線を半音下げる特殊な調弦(スコルダトゥーラ)で増4度を響かせます。シロフォンは骨がぶつかる音をまね、曲の途中ではグレゴリオ聖歌「怒りの日」の旋律が引用されます。

Saint-Saëns: Danse macabre, Op. 40 – Philharmonia Orchestra, Charles Dutoit
サン=サーンス「死の舞踏」原曲。シャルル・デュトワ指揮、フィルハーモニア管弦楽団(Decca、公式音源)

曲全体は短調のワルツの3拍子で進みます。3/4拍子の読み方に自信がなければ、音符の長さ・休符・拍子の記事を先にどうぞ。

ドラマ『フォーハンズ 〜2人のソナタ〜』では、主人公の2人が1台のピアノで一緒に弾く曲として登場します。舞台恐怖症に悩む主人公の一人が、相手とこの曲を練習しながら再びピアノの前に座る場面です。

강비오 & 최정요│생상스, 죽음의 무도 (C. Saint-Saëns, Op. 40) | 4hands piano
ドラマ『フォーハンズ 〜2人のソナタ〜』の「死の舞踏」連弾シーン(tvN DRAMA公式チャンネル)

サン=サーンスの時代のピアノ版

「死の舞踏」はもともと管弦楽曲なので、ピアノ楽譜はすべて編曲ですが、サン=サーンスの存命中にすでにいくつものピアノ版が出版されています。ペトルッチ楽譜ライブラリー(IMSLP)にまとめられている主な版は次のとおりです。

編成編曲出版(IMSLP記載)
ピアノ2台サン=サーンス本人デュラン(Durand)、1875年
ピアノ1台4手(連弾)エルネスト・ギローデュラン、1875年
ピアノ2台8手エルネスト・ギローデュラン、1876年
ピアノ独奏フランツ・リスト(S.555)デュラン、1876年
ヴァイオリンとピアノサン=サーンス本人デュラン、1877年
装飾枠の中に「Quatre Poèmes symphoniques pour Piano à quatre mains」と書かれた19世紀の楽譜の表紙
サン=サーンスの交響詩4曲をまとめたピアノ連弾版の表紙(パリ、デュラン&シェーネヴェルク)。「死の舞踏」作品40を収録。出典:IMSLP、パブリックドメイン

ペトルッチ楽譜ライブラリーはリスト編曲を超絶技巧の編曲として紹介しています。上のレベル別の表でいちばん難しい側にあるリスト編曲(S.555)の楽譜がこの版です。まずは曲を聴いてみたいという人には、下の角野隼斗さんの演奏がおすすめです。角野隼斗さんはmymusic5でも楽譜を販売しています。

Saint-Saëns=Liszt - Danse macabre S.555 / Hayato Sumino
リスト編「死の舞踏」S.555。角野隼斗の演奏(PTNA公式チャンネル)

どの楽譜から始めるか

はじめてなら、原曲の調のまま61小節に短くしたTHIS IS PIANOのEasy versionで曲の流れをつかんでみてください。一緒に弾く相手がいるなら、セコンドのD音12回で始まる連弾譜がドラマの場面にいちばん近く、原曲の華やかさをそのまま味わいたいならリスト編曲が目標になるでしょう。

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参考資料

クラシック音楽の物語

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